ここ数日、教育 x IT づいていますが SXSWedu の報告会 に引き続き今回はこちらのイベント、
http://peatix.com/event/82622peatix.com
に行ってまいりました。
先日の SXSWedu 報告会でもありましたが、イギリスのプログラミング必修化と対比して日本の技術家庭科でのプログラミング実習の話もあり、やはり教えられる先生が圧倒的に不足しているという危機感は共有されていました。また今回は SXSW (の Interactive) に関する話でより一層来年は参加してみたいと思える魅力的な講演でした。あと、基礎を教えて出口をきっちり見せると後は勝手に育つというのも印象的でした。
掲載の許諾をいただきましたので、以下講演メモです。
LEGO Education 正規販売代理店 Afrel 渡辺 登 様
- 元々組み込み系、LEGO League Teacher Training の修了書も持っている
- レゴマインドストームを活用した様々な活動を行っている
- ET ロボコン : マインドストームを使いながら UML, MATLAB などのモデリング技術を学ぶ(社会人・大学生)
- SMART DEVICE GP : リクルートが行っている学生向けコンテスト
- はこだて未来大学はマインドストームを使ってシステムの要求定義などを学んでいる
- ムサビデザインスタジオでもワークショップを行っている
- キミのミライ発見 : 高校生に車のプログラミングの紹介。学校の先生が使いやすいように作った
- Java for Students : Oracle がマインドストームを使って Java を教えている
- 技術科の教材を作るなど、LEGO 社が作ったハードに Afrel が付加価値をつけて提供するビジネスモデル
- World Robot Olympiad 2014
- 霞ヶ関オープンデイ2014
- Code for Japan 2014
- Pile Drive : 小学生の子供達がタブレットを使いながらプログラミングできるような環境を提供する(東大発)
- EV3 発表会では記者向け体験会を行ったりした
- 順次・繰り返し・分岐・変数などを覚えていく
- Arduino / RaspberryPi とマインドストーム EV3
- EV3 はセンサー、モーター、フレームがあるのが良い
- 日立ソリューションでワークショップを行ったりもした
- ETロボコンを教えられる人も育成している
- 5/17 にトレーナー研修会がある
- コードでもっと幸せな国にする3年構想を抱えている
東京大学 産学連携本部 助教 菅原 岳人 様
- アントレプレナーシップの教育者
- TODAI TO TEXAS
- 学生を連れて行くと教育効果が高い気がしている(教育をハックしているとも言える)
- SXSW : インタラクティブだけで 1,100のセッション、2,377名のスピーカー、32,798名の参加者 (インタラクティブセッションのバッジは10万円以上)
- SXSW Trade Show(4日間) : 568ブース、65,000展の出典
- 斬新なアイデアやプロダクトがあるなら学生でもスタートアップでも試してみれば良い
- 下川 俊成 氏 が TODAI TO TEXAS プロジェクト発足のきっかけを作った
- OpenPool : Kinect を使って大乗にリアルタイム・プロジェクションマッピングするインタラクティブビリヤード
- 2013夏 募集(〜11月), DemoDay(12月), SXSW出展(3月)
- 2014 : 3チームを選抜・3チーム自費参加 : SKELETONICS / Moff / AgIC…
- スケルトニクスがすごい評判だった・現地で超人気バラエティにも出演した
- 2015 : 6チームを選抜・4チーム自費参加
- 学部生 Trickey : カスタマイザブルキーボード
- 電子情報機器学(通称びっくりドッキリメカ)
- 基礎講義から自主作成まで。必ずイノベーションとは何かを教える。
- 一度使い始めたら後戻りのできないハードウェアを生み出す事
- 学生には基礎をしっかり教えて出口さえ示せば間は勝手に埋まる。
- むしろそれ(つくっているもの)はイノベーションなのか?を何度も自問自答させる事が大事。
- 東大はものづくり講義が充実している
- 出展と同時に強制クラウドファンディング
- 毎日100名くらいの来場者とインタラクション(開発者の学生さんにとっては初めての米国旅行だった)
- NASA で3Dプリンタ作っている方が通りすがってコメントをくれたりする
- 参加した学生の感想
- 良い意味でクレイジーな、世の中を変える人たちの世界がわかった
- 技術(だけ)ではなくてアイデア一本で世界が変えられることがわかった
- 人に使ってもらう、買ってもらえる HW を作るのは難しい
- 自分の作りたいものから世界に影響を与えるものへギアチェンジさせうる、ものづくり教育の一旦を担えないか?
- SXSW は行くと人生観が変わる。特に TradeShow が重要 : ガチなイノベーターと4日間対峙すると誰でも考え方を変えざるを得ない
LITALICO Qremo事業部 島田 悠司 様
- LITALICO 3年目でネット通信方式の研究をしていた
- 小中学生の 6.5% に発達障害の可能性があると言われている
- 学習や行動面に著しい困難
- ハリウッドスターや発明家などの中にも識字障害を始めとする発達障害を持つ人がいる
- Leaf : 多様な子供達に合わせた学習支援
- ガンダムなど、それぞれの子供が興味のあるものに題材を置き換えて算数を教えたりしている
- qremo : 興味関心を伸ばすデジタルものづくり教室
- iPhone アプリを作ってもらうワークショップを行ったとき、学校のクラスで集中できない子供が3時間没頭がきっかけ
- ソフトウェア・ハードウェア・デザインに横断して触れられるような機会の提供
- レーザーカッターや 3D プリンタも使っている
- 数学的に難しい弾幕シューティングを作って来たりする子供もいる
- 解説1年で生徒数300名、77%が小学生、小学校・低学年が中心(未就学時もいる)。2歳児がタブレットのアプリから 3D プリンタを使ったりしている
- 小学生の 65% は今存在していない職業に就くと言われている
- そもそもどんな世界が来るかわからないので今ある知識を総結集して将来を生きる力を教える事が大事
- 一つの答えを出す知識の教育は終わるのではないか、これからは新しいものを生み出せる力が必要
- プログラミング教育の本質は創造性を高めること。qremo が目指していきたいのは新しいものをつかって新しい答えをつくりだす力
パネルセッション
- 10年前、プログラミング教育はどう違っていたか
- ここ5年くらいで arduino が出て来てだいぶ変わった
- 組み込み業界がむしろ取り残された
- 高校生以前に教育を受けてきた人たちはそもそも人種が違う
- 大学で学ぶ知識は10年もすれば陳腐化する
- 高校でプログラミングを教えられる先生がそもそもいない。趣味でやっている先生か、あるいは工業高校か工専でしっかりやっているかというのが現状。
- 学生の IT リテラシー(プログラミングスキル)についても大学に入る前でだいぶ差がつきつつある
- ライトな層がプログラミング(教室)に関わりつつある、例えば Drone や Pepper を使って開発をするのが子供達のステータスになりつつある。
- 親の影響も要因だが、今は子供も自分でネットで調べて知識を吸収できる。
- Minecraft はやはり流行っている
- 海外との違い
- マインドストームは普及度合いでアメリカとの差が激しい
- 中東ではソフトウェア開発を政策としてやりつつあるが、日本ではそういう話が出ていない
- 大きくなったスタートアップ (Facebook / Google など) の社長はエンジニア出身で、政策にも影響を与えている
- 日本はエンジニア社長が少ないため経済界におけるエンジニアリングの重要性の認識が海外に比べて劣る
- 日本は特に HW が絡む部分はまだ戦える
- イギリスに続いてアメリカもプログラミング必修化が進んでいる。日本も文科省が動いている。
- 海外では答えではなくクリエイティブさを評価しており、点数化しなくても OK という文化だが日本は必修科した場合は違うだろう。
- TODAI TO TEXAS に行くメンバーは demo day の審査基準による
- プロトクオリティ、インパクト、SXSW らしさ(審査員が全員 SXSW 経験者で SXSW に来るような人がまだ見た事ないであろうものを知っている)
- 生徒が作って驚いたもの
- マインドストームを使って義足を作ると言った生徒がおり、さらに足りない部分は 3D プリンタで作った
- 作る過程を重視している、Trickey は過程の中で50個以上いろんなアイデアを出している
- レシピをクラウドからダウンロードしてシェイカーを動かすハッカソンもあった
- 例えば Moff には加速度センサしかないが、クラウドと連携することで価値を付加する
- 子供達のクリエイティビティ
- iPhone はゲームデバイスではなくツールとして与える
- 情報系でない先生は講義も大変
- スマホは GW としての役割・ラストワンマイルを補填することができる
- WiFi の電波に関するアイデアが出てくるなど、大人が意識していないようなものが見えている
- 中学校の技術科ではプログラミングが必修になっているがサポートが必要
- 私立は良いが、公立は専門の先生がいない・プログラミングの面白さを教えられない
- 先生がプログラミングの実習をスキップしてしまうのでそこを LEGO 社含め何とかしようとしている
- マインドストームをどのように教師などに教えているか
- 鳥人間などは顧問の負担が大きいので関わる先生がそもそもいなくなってしまう
- 教員評価につながらないところを何とかやるように啓蒙する
- 大学の先生の仕事は部屋で区切られてしまうので、誰かが辞めても引き継がれない可能性が高い
- Kickstarter にしても基本的に参加者にやらせる、が大人お尻をふいてあげることも大事
- もぐらたたきなどのようにやりたいと思えるテーマありきで、その中でポインタなど必要な技術を使えるようにしている
- 鳥人間などは顧問の負担が大きいので関わる先生がそもそもいなくなってしまう
- 生徒をより成長させるためのポイントは何か?
- 子供達にあった教育、カリキュラムがあったとしてもそこから外れる子供の受け皿が必要
- すてきな勘違いをしながら背伸びできるのは大事
- 完璧を求めないでまず始めている人は面白そう、カチカチの事業プランやっている人はあまり楽しくなさそう
- 普通だったらしゃべれない人としゃべらせるようにする。想像もできないような機会をどれだけ与えられるかに注力している
- 子供達にあった教育、カリキュラムがあったとしてもそこから外れる子供の受け皿が必要
- 子供達の間のコミュニティ作りをどう支援しているか?
- 3人一組でペアプログラミングをやってみた。子供達でも学びがある。チームで作っていく楽しさと難しさを痛感しているようだった。
- コミュニティとチームワーキングは別の話
- チームワーキングは誰であろうと難しいが故に学びがある
- Scratch でつくったプログラミングをシェアして皆がまた改造してという文化が成り立ちつつある
- ロボコンは競争でシェアではないが、同じ課題に対して複数のアプローチがあることを学ぶことができる
- ロボコンで自分の子の写真・ムービーだけを撮ってばかりいたら相手を研究できないと子供に怒られた親御さんがいたり、負けて学ぶということもあるので競争の場は大事
- 大学生は利害関係もなく我が強い、イデオロギーが強くてコミュニティが発達しない
- 競争の場を与えるとまとまる、大学生には競争の場が重要
- それぞれが考える IT教育での成果とは
- SXSW に行けるような子供達を育成できる事、スーパースターだけではなくいろいろな子供に理想の学びの場を提供できる事
- 教育の成果の回収にはタイムラグがある、大学は最終教育機関なのでアウトプットが出るのは時間がかかる
- 東大に入るのが官僚になるのではなく SXSW に行けるらしいということが目的になる、そして学生の底上げがされ5年後にグローバルな人材になると良い
- 東大レゴ部に生徒が入ってくる、読み書きプログラミングと言われるような慣習化
- 特定企業のリクルーティングに関与する事は悪い事と思われている?
- インターンに参加させるなどは実質的にはやりづらいがインターンした先で最先端のことをやれるべき
- シンガポール国立大学はスタンフォードと提携しており、授業を受けてベンチャーで働くと単位になる
- ハッカソンについて
- ベンチャー支援者という立場からいうと費用対効果は悪い
- どちらかというと non profit / civic tech の方で効果を発揮するが、土壌が無いと価値のあるものはできない
- 教育という意味ではレベル差のある人がチームワークをすることに意味がある。初学者が一緒にモノを作る体験を得る事ができる
- 既に全てにおいて教師が生徒を上という状況に無い
- ファシリテーションや発想法などそちらの方が必要になってくると思われる。エンジニアリング力を引き出す方に注力するべき
- iPhone やアプリが当然だと思っていて裏側の仕組み・低級言語を知らない子供も増える
- 将来的にそれを学習する機会はどんどん失われていくだろう
- 開発系HWスタートアップなど競争力を出さないといけない方は低レイヤでのチューニングなどがより必要になる
- 基礎教育としてやらないといけないか?これからの大学はそういった基礎をやる場になるかもしれない