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『SXSWeduへの挑戦結果報告会〜世界の教育最前線から〜』 聴講メモ

先日、デジタルハリウッド大学で開催された SXSWedu 2015 の参加報告を聴講してきました。

gs.dhw.ac.jp

昨今の教育事情や世界的な問題意識などキャッチアップできた事が非常に有意義で、来年は是非自分も参加してみたいと思えるような内容でした。

下記、聴講メモなのですが私自身が専門外ということもあり、誤読・誤認または調査不足による誤った記載がある可能性があります。また、参考リンクについては私が勝手に付加したものがあることもご了承ください。

SXSWedu最前線 (デジタルハリウッド大学大学院 佐藤昌宏 教授)
  • SXSW : 87年に音楽祭として開始。
    • Music, Film, Interactive (IT) が大きなテーマでどちらかというと Edu は前座的な位置づけ。
    • PUFFY も全米(世界)デビューのきっかけに使った。今年は Perfume が登場。
    • 場所はオースティン (Sillicon Hills : ベンチャー育成に積極的)、世界へ売り込む発信の場。
    • Todai to TEXAS : 東大の産学連携が SXSW を通して世界に売り込み。
      • 過去にスケルトニクスも売り込んで、逆輸入のような形で今は日本の CM にも出ている。
  • SXSWedu は Education expo - Launch - Playground - Film のようにエリア・セッションが分かれている。
    • 参加者数6,000人, 男女比 5:5, 教育がテーマということもあって7割以上が大学院卒。今年は日本人18人が参加。
    • 15歳でカーボンナノチューブによる膵臓がんの発見手法を確立した Jack Andraka 氏のプレゼンが凄かった 。
    • MIT MediaLab 所長の Joi Ito 氏の妹である Mimi Ito 氏は興味が近い人が集まったときを学習の機会にする Connected Learning を提唱している。
    • KHAN Academy と CollegeBoard の連携が発表された。
      • CollegeBoard が提供する SAT (大学進学適性試験) を受験する上での準備を KHAN Academy が提供する教材を使って中高に行かずとも誰もが無料で行うことができるようになる。
    • Gender gap に関するセッションも多かった。
      • ノーベル賞受賞者でもある Malala 氏が Hour of code を支援している。
      • 女性により受容されるように Art の価値が再確認され、STEM に A を加えた STEMA 教育が注目を集めている。
      • The global gender gap : 北欧が圧倒的に格差が少ない。アメリカは20位、日本は104位。
      • 役員の何割を女性に、というような制度ではなく教育で男女格差を解消しようという背景がある。
      • Linda Liukas 氏と Karri Saarinen 氏がヘルシンキで最初に行ったイベントから端を発したフィンランド発の女性向けプログラミング学習イベントである Rails Girls というものがある。
        • そのメッセージとしては、全ての会社がソフトウェアの会社になる、社会にはもっとたくさんのプログラマが必要というもの。
    • Closing the (middle skill) job gap というのも一つの重要なテーマだった。
      • スキルを3つに大別すると下記のようになる。
        • ハイスキル : 法律家、コンピュータ開発者、金融業など : 所得が激増している。
        • ミドルスキル : 営業・銀行の窓口業務、秘書、機会のオペレータ・工場の監督官、教員など : コンピュータに代替可能であるとされ、所得が減りつつある。
        • ロースキル : ビル管理・食品調理: 所得は微増している。
      • 参考) UK economy shows shift to low-skilled jobs, research finds
      • アメリカでは基本的なデジタル技能を持たない人は事実上、米国経済のどの部門に立ち入る事ができないという主張もある。
      • ミドルスキルにおける労働市場のミスマッチを教育者と EdTech でどう解決するか?
        • 教育が一つのアプローチ (プログラミング、STEM、ICTリテラシー教育) になる。
  • SXSWedu の楽しみ方
    • Meet up
      • Interactive などは規模が大きいこともあって同じテーマを持っている人になかなか出会えない。
      • Social という機能があり、事前につながることもできるのでそれを活用する (edutech タグの人が多かった)。
      • 海外では仲良くなってから名刺、Email -> Linkedin -> facebook の順でつながる事が多い。
    • Austin Startup Crawl
      • Austin に根付くベンチャー企業を回れるような地図をくれる。
      • 先生たちがベンチャー企業を回って学校で使ったり、ベンチャー企業が市場調査をできたりする。日本では深い溝があってまずそういう機会はない。
    • ご飯や移動には Uber などのアプリを使っていた。ホテルが凄い高くなるので宿も Airbnb でとった。
      • 毎日がスマホで始まり、スマホで終わるくらい IT が当たり前に使われている。
      • 日本では教育と IT が別のものとして語られることが多い。
  • SXSWedu2016 : 本気で世界の課題を解決しようとしている教育者と肌感覚で話し合える。
    • 日本の現状を正しく把握できる
    • 起業家は LaunchEDU へ。期間は10日間くらい。日本の EdTech を世界へ!
教育現場に広がるSTEAMの世界 (グリー株式会社 小宮山利恵子氏)
  • STEAM もテーマの一つとして SXSWedu に設定されていた。
    • 4日間で356のセッションがあった中で STEM/STEAM のタグ付けされたセッションは24 (1セッションは10分〜1時間)
  • セッション紹介 1 : How to teach programming
    • イギリスでは5歳から16歳までプログラミング教育が義務化されている。
    • 低学年向けのデバイスを使わないプログラミング教育が普及し始めている。
      • 5歳で簡単なプログラミングとデバッグ。
      • 7歳でプログラミングの設計及び実現。
      • 14歳で2つ以上のプログラミング言語を習得。
    • 低学年のうちに (ロボットなどを通して) physical にプログラミングを理解しておくことが重要。
  • セッション紹介 2 : Robot Edu How robots can transform learning
    • 授業でロボットを用いる事でラーニングカーブが鋭くなった(学習効率が高くなった)
    • ロボットは年齢・性別に関係なく、その楽しさをアピールできる。またプレゼンの能力も向上した。
      • CS 専攻の学生は男性が多かったので STEAM の A を入れたもの(ロボットの Nao を使ったファッションショー)を取り入れた。
      • ロボットはどの層も引きつけている・アピールできるのではないか?という話がされた。
    • いかに民族的マイノリティにアプローチするか?ということも重要。
  • セッション紹介 3 : Motivation and Virtual Learning
    • 子供達は Scratch を使う事で自然と4つの P を実行している
      • Projects
      • Peers (子供達の作品とチュートリアルが掲載されるポータルがある)
      • Passion (ゲームだけでなく母の日のカードや誕生日のカードやレゴで作ったものなどを自発的に作っている)
      • Play (自分が作った者を際限なく遊ぶ)
    • 最近の Scratch はダンスや音と組み合わせて3次元の遊びができるようになった
      • 拍手を使ってコウモリをコントロールするゲーム
    • 将来、21世紀型スキルと呼ばれるこのような能力はもっと必要になる
  • セッション紹介 4 : Degrees vs Micro Credentials
    • コミュニティスクールによる学位よりも、民間が発行する認定書の方が就職に有利という議論が起きている。
    • Nanodegree : Udacity x at&t が提供、既に Google の社員教育としても採用されている。
    • 昇進に関する一つのファクターとなりうる。
    • 職業的な者、スキル的な者がベースとなる社会になったとき、学校以外の期間が発行する認定書は更に役立つ者になる可能性がある。
  • Skype 発祥の地でもあるエストニアにおける IT 政策
    • 教育先進国であるエストニアはバイオおよび IT を国の主要な産業の柱として掲げている。
    • インターネットの個人普及率は76.5%、世帯普及率は70%。
    • 国民 ID カードがあり、若い人はカードすら持たずに携帯に収めている。
    • 政府 CIO (Chief Information Officer) の Taavi Kkta 氏はまだ 35歳。
    • 参考) #ICTSpring 2014 Day 2: 「国の要衝はクラウドにあり」〜世界最先端e国家エストニアが考える、国の守り方
      • 個々の生徒を育成するよりITというツールを使って何ができるようになるか、イノベーションが生まれるかどうかということが重要 (KPI は持てない・それを測る指標は無い)
    • エストニアは高等教育が充実しているので国外への留学生は少ない
    • 小学校1年生のスマホ所持率が91%
    • Pelgulinna School
      • IT はツールでしかないので子供達の五感を用いた授業を多く行っている
      • HITSA (NPO 団体)が先生のケアを一括して行っている
      • IT教育 Smartlab
  • 日本の課題
    • 理系人材の減少 : 97年度から減少を続け、2013年度には21.6%まで低下
    • STEM 教育を支える ICT 教育環境の格差
      • デバイス活用政策 : 700億円の試算 - 行政配布か、自費購入か、BYODか?
      • 2014年度から4年間で6,712億円をICT教育整備として予算措置しているが地域において環境格差が存在する。
      • デバイスに触った事の無い子供達がたくさんいる・公立学校であっても平準化されていない。
      • 地方交付税だが紐づけではないので長の判断で使途が異なる。
SXSWeduからみる世界のEdTechスタートアップの状況 (Viling Venture Partners 栗島祐介 氏)
  • 発表資料
  • Minecraft meetup

    • 満員の会場で半数近くが子供達で熱狂していた。
    • 日本でも流行っている・ひとクラス3・4人はやっているらしい。
      • HIKAKIN 発信から始まった?実況動画に触れて楽しいと思ったのがきっかけの可能性。
      • 探Qチャネルのように動画から学ぶことが当たり前になりつつあるのかもしれない。
    • 参考) MinecraftEdu という試みがある。
  • SXSW に挑戦したベンチャー企業の中で LAUNCHedu Finalist の紹介。

    • Zaption
      • 優勝者であり、映像教材として提供されている動画をつぎはぎして教材を作ることができる。また学生の進捗も確認できる。
    • Pear Deck
      • 多人数向けリアルタイム双方向型授業サービス
      • 同様のアプリで日本発の ロイロノート の方が勝っている印象。
    • 去年のファイナリストは RobotsLab
  • Viling Venture Partners は Education Expo に VC として参戦。
    • 日本から教育スタートアップを連れて行って反応をみた。
    • 海外に置ける日本の教育系スタートアップの進出可能性の調査。
    • 日本発でも勝算があるが超えるべきポイントがある。
    • 洗練されたプロダクト(機能・UI・UX)が必要。
    • 外部の組織の巻き込み方、Global な実績が重要。
  • EdTech : アメリカでは 2013 年に 1,400 億円、2014 年 Q1 に 750 億円もの予算がついている。
    • 幼児教育・K-12教育・STEM(高等)教育
    • 米国における女性エンジニア比率は14%であり、この比率を上昇させる動きとして Art が取り入れられた。
    • テクノロジーの進歩によるミドルスキル層の衰退
      • 銀行窓口業務に IBM の人工知能ワトソンの導入
      • 金融業でもトレーダーが自動化されつつある
  • 日本の現状
    • 教育関係者 x Startup が当たり前にある環境 : △
    • 教育機関・事業会社・投資家の支援体制の確立 : △
    • 伝統的な習い事にも変革が起きつつある。
    • 海外市場に日本の目を向けさせるための方法の模索。
    • SXSWedu のネットワークから日本の教育系 Startup を世界へ(有力者と効率良く繋がれる)。
  • 教育領域特化型VC | Viling Venture Partners
    • 没頭人材
    • Eduvation Times (EdSurge の日本語版サイト)
    • Accelerator Program
日本の教育系スタートアップによるSXSWed挑戦報告 (株式会社baton 衣川洋祐 氏)
  • 最も興奮する、100秒の勉強法マッチ
  • 教育 x 対戦型ゲームアプリ
  • 問題意識 : PISA (学習到達度調査)の調査では数学的リテラシーや読解力などは日本は高い、が興味関心・動機付けは非常に低い。
  • SXSW で失敗する10の挑戦
    • SXSW を調べない。
    • 直前に英語を詰め込む。
    • 学ランを着る(あまりウケなかった)。
    • 英語版サンプルのデモだけじゃだめ、U.S. リージョンのストアに出してその場で誰でもインストールできる状態にしておくべき。
    • 日本の教育を伝えるという気概だけではだめ。アジアの一国としての日本を求められる(アジア市場でのポテンシャル、中国などとの比較)
    • SXSWedu に全力を注いでしまうのはだめ。 Interactive に Perfume もいたし、面白い新しいサービスがいっぱいあるので残りも滞在するべき。
    • SXSW を満喫してしまうとだめ。時差の関係で現地で日本と仕事ができる時間が限られる。
    • 一人で乗り込むのはだめ、3人はいて欲しい。
    • しっかり食べるとだめ、時差ぼけを解消するためには機内食など24時間食べないといいらしい?
    • 自身をもたない、すぐ砕けるのはだめ。穴だらけでもとりあえず持っていく。