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べにやまぶろぐ

技術寄りの話を書くつもり

『小さくて強い農業をつくる』読書メモ

小さくて強い農業をつくる (就職しないで生きるには21)
久松達央
晶文社
売り上げランキング: 5,676

先日、湘南T-SITE 内の本屋で平積み残り一冊だったこの本、農業 IT にも最近関心を持っていることもあって思わずその場で買ってしまいました。

ソフトウエア開発にもつながる話が多くて色々な至言があったように思います。以下、個人的に響いた箇所のメモです。

『20代で土日が楽しみになったらおしまいだよね』(p.34)

農業へのあこがれで日頃の不満をガス抜き = 腹をくくって人生を決める覚悟がない、との自省。20代でなくても週末が楽しみになってしまっては本末転倒。

『夢のために助成金があるのであって、助成金のための夢ではない』(p.42)

目先の金の算段をつけるサラリーマン的発想で本当の目的を見失わないこと。

『人は人中、地は地中』(p.59)

人も畑も真ん中で揉まれないと良くならない。

『農業って理系の技術職』(p.74)

農学のバックグラウンドがないとやるまでわからない。

『「経験と勘」がない自分には論理と言葉しかない』(p.78)

単純なプロセスであっても詳細に言語化することで問題点を明確にするだけでなく(属人性が排されるので)ノウハウの譲渡にもつながる。仕事は引き継ぎを繰り返すことで人から機能になり、また初めてコアとなる価値がわかる。久松農園ではクラウドで共有している。

『そもそも農業は自然なものではない』(p.87)

経験のない者が漠然と想像していまう農業 = 自然という誤解。

『一人ひとりが作業の内容を理解し、自分の判断で動ける仕組みがないと回らない』(p.94)

久松農園では朝会までにその日の作業内容を個々が予習し理解した上で、自己組織的に作業を行う。スクラム開発にもつながるところがあるように感じる。

『マニュアルはできるだけ初心者が作るようにしています。』(p.99)

熟達者が作ると暗黙知化している細かい行動の記録が抜ける。失敗学によれば「客観的な失敗情報は役に立たない」。

『多くの人が「野菜は美味しいから食べる」という素直さを失っている』(p.144)

「体に良い」、「残すべきではない」、「無農薬だから」と言って食べる・食べさせるより「ただ美味しいから」食べる食い気で考えて欲しい。エロうま。

『時間は未来から過去へ向かって流れている』(p.150)

あらゆる場面で因果を追求することに意味はない。未来に思考を移すべき。

『人は誰でも、半径10mの人間関係に規定されてしまいがち』(p.174)

インターネットは身近な人の外側に真のファンがたくさんいることを教えてくれる。周囲の否定的な意見に屈する必要はない。

『理念なき経済は罪悪であり、経済なき理念は寝言である』(p.199)

有機農業の成り立ちからして商業主義に触れることがタブーだった時代がある。

『自分の労働単価を決めてしまえ』(p.217)

設備投資や事業規模はまず自分が何時間稼働してどれだけ売り上げたいかを決めることから始まる。

『新規就農者とのマッチングがいい選択肢の一つは、間違いなくニッチ狙いの変態型農業』(p.265)

マスプロダクションから脱却し、全ての人が食べる野菜がなくなってきた昨今ではコモディティ型の生産と勝負するのではなく、合理性から脱却した『グッと』くる変態型農業が有効。

『明日のために今日を我慢するという生き方をしている限り、目的は絶対に達成されません』(p.273)

子供は大人になるための準備期間ではなく、子供のときにしかできないことをやる期間。それは大人も同じ。

次は同著者のキレイゴトぬきの農業論(新潮新書)を読んでみようと思います。

キレイゴトぬきの農業論(新潮新書)
新潮社 (2014-03-21)
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